★療養病床とはいったい何?一般病床とは違うの?
療養病床とは、状態が安定している要介護者に、療養上の管理・看護・医学的管理下(※要介助者の状態変化の観察を行い、医師の指示があれば医療処置を行うこと。)での介護や機能回復訓練(リハビリ)などの医療を行う施設とことを言います。一般病床は、主に急性期の患者を対応する為の病床とことをいいます。重症な患者や治療が必要な患者が入院するところになります。
一般病床と違い、医師や看護師の配置人数は少なくてもよいが、介護職員の数を多く配置しなくてはいけません。同じ病院のなかで一般病床と分けて設置することができるため、療養型病床群とも言われています。
★2つに分かれている療養病床
- 医療療養型病床:慢性期の状態にあって入院医療を必要とする患者に対するサービスを医療保
険で提供する病床
- 介護療養型病床:要介護認定された患者に対するサービスを介護保険で提供する病床
必要に応じて医療も受けられる。
この2つの違いは、保険の種類によって分かれています。医療療養の場合は、医療保険制度が適用になります。私たちが普段使用している保険の分野ですね。もう一つの介護療養病床は、介護保険制度が適用になります。この際、介護保険の要介護認定を取得する必要があります。よく耳にする要介護1や2などのことです。
★療養病床における医療区分とはなんだろう
療養病床における医療区分について、平成18年7月から、医療療養病棟における診療報酬を医療区分とADL区分
を用いて患者を分け、その組み合わせにより評価するということになっています。この区分を用いて、今現在患者がどのような状況に置かれているのか判断し、細かく分けていく必要があるということになりますね。
〈医療区分〉
医療区分3【疾患・状態】・スモン・医師及び看護師による24時間体制での監視・管理を要する状態
【医療処置】・中心静脈栄養・24時間持続点滴・レスピレーター使用・ドレーン法・胸腹腔洗浄
・発熱を伴う場合の気管切開、気管内挿管のケア・酸素療法・感染隔離室におけるケア
医療区分2【疾患・状態】・筋ジストロフィー・多発性硬化症・筋萎縮性側索硬化症(ALS)・パーキンソン病
関連疾患・その他神経難病(スモンを除く)・神経難病以外の難病・脊髄損傷・肺気
腫・慢性閉塞性肺疾(COPD)・疼痛コントロールが必要な悪性腫瘍・肺炎・尿路感染
症・創感染・リハビリテーションが必要な疾患が発症してから30日以内・脱水・体内出血・頻回の嘔吐・褥瘡・うっ血性潰瘍・せん妄の兆候・うつ状態・暴行が毎日みられる状態
【医療処置】・透析・発熱又は嘔吐を伴う場合の経管栄養・喀痰吸引・気管切開・気管内挿管のケア
・血糖チェック・皮膚の潰瘍のケア・手術創のケア・創傷処置・足のケア
医療区分1 医療区分2・3に該当しない者
〈ADL区分〉
当日を含む過去3日間の全勤務帯における患者に対する支援のレベルについて、下記の四項目に0~6の範囲で最も近いものを記入し合計する。新入院(転棟)の場合は、入院(転棟)後の状態について評価する。
(0:自立 1:準備のみ 2:観察 3:部分的援助 4:広範な援助 5:最大の援助 6:全面依存)
aベット上の可動性 b移乗 c食事 dトイレの使用
ADL区分1:11点未満 ADL区分2:11点以上~23点未満 ADL区分:23点以上
★療養病床の入院基本料はどのくらい?

Word PRICE hanging on the ropes. 3d illustration
入院基本料とは、病院が患者に対して入院したい際に様々な医療サービスを提供した際の報酬として受け取る基本的な料金のことを言います。診療報酬の項目として2000年度の改定時から設けられたものです。
療養病棟には、長期療養のために入院が必要な患者が入院します。療養病棟においては、病気の種類や重症度によって医療区分1~3、日常生活の制限や介護の必要性によってADL区分1~3に判定し、それにより料金が設定されていく仕組みになっています。重症患者を多く受け入れている病院は療養病棟入院基本料1、重症患者の少ない病院では療養病棟入院基本料2の料金となっています。
これをわかりやすく図に表したのが下記になります。
〈療養病床入院基本料1〉
看護師配置:20:1以上(医療区分2.3の患者が8割以上)
医療区分1 | 医療区分2 | 医療区分3 | |
ADL区分3 | 934 | 1369 | 1758 |
ADL区分2 | 887 | 1342 | 1705 |
ADL区分1 | 785 | 1191 | 1424 |
〈療養病棟入院基本料2〉
看護配置25:1以上
医療区分1 | 医療区分2 | 医療区分3 | |
ADL区分3 | 871 | 1306 | 1695 |
ADL区分2 | 824 | 1279 | 1642 |
ADL区分1 | 722 | 1128 | 1361 |
★ 療養病床転換における親類型とは
厚生労働省の「療養病床のあり方等に関する検討会」では、「療養病床・慢性期医療のあり方の検討に向けて~サービス提供体制の新たな選択肢の整理案について~」を取りまとめました。2017年度末に廃止予定である介護療養病床などが転換する選択肢として新類型のイメージを提示しました。新類型は「医療内包型」と「医療外付型」の大きく2つに分けられます。
医療内包型…医師や看護師が配置される医療提供を行う施設。また、ここでは医療・介護の必要度が比較的高く、容体急変のリスクにも対応するタイプと容体は比較的安定している人を受け入れるタイプの2類型を設けることにしました。
医療外付型…医療機関に居住スペースが併設され、医療や看護は併設された医療機関などから提供されるような施設。
どちらにおいても、療養病床の利用者像を踏まえるようにしています。長期利用に対応する「住まい」の機能を位置付け、プライバシーの尊重や家族などと交流可能な環境整備をきちんと整えていく必要があるでしょうね。また、日常的な医学管理や看取り・ターミナルケア体制も備えていくようにしていく方針となっているようでした。2017年度末には介護療養病床と看護師配置が少ない25対1医療療養病床を合わせた約14万床が廃止される予定となっています。ですが、以前に介護療養病床は介護療養型老健などへの移行をしていくとなったがなかなか進まず、廃止期限を6年延長した経緯もあります。これはあくまで予定であり、厚生労働省においては2017年度末廃止の方針で進んでいけるよう、転換先の選択肢の一つとして新類型のイメージを提供してようでした。
今日本は少子高齢者社会となってきています。医学の進歩が進んだおかけで、寿命年齢も昔に比べるととても上がっています。ですが助けられる命が多くなってきた分、高齢者の数は年々増え続けています。そんな中で病院における療養病棟は大きな役割を果たしていますが、今後医療分野における財政難もあるためどうなっていってしまうのか心配な一面はあるでしょう。
ただしこの新類型導入の是非や、医療保険・介護保険のどちらに位置付けられるかなどは、今後このとりまとめを受け、医療部会や介護保険部会で検討される。